日頃から怒ってしまう事が多く、アンガーマネジメントに興味を持ったものの「結局イライラしてしまう」「怒りをコントロール出来ない」
結局のところ
アンガーマネジメントは意味がない?
このように疑問や不満を感じているかもしれません。
アンガーマネジメントは「怒りを無くす」ためのスキルではなく「怒りをコントロールするスキル」となりますので、意味がないと判断するのは時期尚早。
再度この記事で「アンガーマネジメント」について知識を深めて頂き、なぜ意味がないと言われてしまうのか理由を知りましょう。
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、怒りを制御(コントロール)するための心理療法プログラムです。
怒りを無くすための手法として考える人もいますが、あくまでも怒りをコントロールする手法となり
日本アンガーマネジメント協会では下記のように解説もしています。
アンガーマネジメントは怒らないことを目指すものではありません。違いを受け入れ、人間関係を良くする心理トレーニングです。
日本アンガーマネジメント協会
また、驚きなことに
当初は犯罪者の人達に向けての補正プログラムとして活用されていたようですが、現代ではビジネスシーンや日常生活でも活躍するマネジメント手法として注目されています。
アンガーマネジメントが意味ないと言われる理由
アンガーマネジメントは実施しても「意味がない」と言われることが多い心理療法プログラムでもあります。
意味がないと言われる主な理由は、アンガーマネジメントを身につけたと認識している多くの人達が「怒らなくなるための手法」だと知識に対する誤解が生じているからでしょう。
またマネジメント方法を学んでも実践するタイミングは怒りの感情が芽生えている瞬間になるため、コントロールが難しいという難点もあげられます。
それぞれの理由を詳しく確認してみましょう。
□アンガーマネジメントが意味ないと言われる理由
- 怒りの感情が無くなる訳ではないから
- 必要な時に実践するのが難しいから
怒りの感情が無くなる訳ではないから
アンガーマネジメント=怒りが無くなる手法
意味がないと感じる人の多くは、アンガーマネジメントを上記のように理解している場合がほとんど。
アンガーマネジメントは怒りが無くなる手法ではなく、あくまでも「怒りの感情をコントロールする手法」と認識する必要があります。
ちなみに「怒り」といっても、誰しもが怒りの強さにレベルを感じたことがあるのではないでしょうか。
アンガー(Angry)とは立腹を意味し、「腹を立てている状態」はアンガーマネジメントによってコントロール出来るとされています。
英語では怒りのレベルが高くなるとレイジ(Rage)と言い換えられ激怒を意味します。
いわゆるブチ切れている状態になりますので、このレベルに達してしまうとアンガーマネジメントを習得している人だった場合でも、さすがに感情のコントロールをするのは不可能だと容易に想像できることでしょう。
必要な時に実践するのが難しいから
アンガーマネジメントの知識が多少なりとも身についていると、実際に怒りの感情が溢れ出して激怒してしまった時に
「アンガーマネジメントって意味ない」
このように感じてしまうはずです。
意味がないと言われる理由は上記のように現場で実践できなかったことに原因があり、知識があっても無駄だったと落胆してしまうことが主なキッカケ。
アンガーマネジメントは知識ではなく、実践で使えるスキルとして身につける必要があり一度だけでなく、繰り返しトレーニングを行う事が求められます。
運動すればダイエット出来るのと同じで、1日運動しただけでは痩せる訳もなく、継続して続けることが結果に繋がるというイメージに似ているかもしれません。
怒りの感情はナゼ溢れ出てくるのか
怒りを制御するアンガーマネジメントを学ぶ前に、そもそも「怒りの感情」はナゼ溢れ出してくるのでしょうか。
先ずは怒りの感情が発生するメカニズムを理解してみましょう。
□怒りの感情はナゼ溢れ出てくるのか
- 第一次感情の蓄積から容量オーバー
- 「~べき」という価値観が原因
第一次感情の蓄積から容量オーバー
怒りのメカニズムを理解するためには「第一次感情」と「第二次感情」2つの感情を、それぞれを区別して認識する必要があります。
怒りの感情はいきなり爆発する訳ではなく、怒りが少しづつ心の中に蓄積されていき、その人の許容している容量をオーバーしてしまった時に怒りの感情が爆発してしまうとされています。
この少しづつ蓄積されていく感情が「第一次感情」となり、容量オーバーして爆発してしまった怒りが「第二次感情」だと覚えれば分かりやすいでしょう。
第一次感情は「怒り」というよりもネガティブな感情全般になる事が多く、具体的に例えるなら
- 不安
- 恐怖
- 苦しみ
- 悲しみ
- 辛さ
- 後悔
このような気持ちがあげられます。
仕事でミスをしてしまった時や、ミスをされてしまった時、上司に指摘をされたり部下に指摘をしたり、このようなシーンで第一次感情は少しづつ蓄積されていきます。
一定の容量が溜まってしまうことで、第二次感情へと繋がってしまう訳なんですね。
「~べき」という価値観が原因
「挨拶はこうあるべき」「身だしなみはこうするべき」このように基準となる価値観は人によって異なります。
会社としてルールが決まっているなら、「会社のルールに従うべき」という共通価値観を持てるのですが
会社としてルールが決まっていない業務や、社会人としての振る舞い方は「~べき」だと価値観が人によって変わってくるでしょう。
この自分の中にある価値観を他人が破ってしまうと怒りの感情が生じやすく、価値観のズレが繰り返し発生することで怒りが爆発する事に繋がります。
例えば
会社のルールで5分前出勤という決まりはないのに、「何事にも5分前行動が当たり前だ!」このような価値観を持っている上司がいれば、部下が全員1分前に出勤したら怒ってしまうのは想像できるでしょう。
怒りの種類を診断してみよう!
怒りには4つの種類があるとされており、ご自身がイライラしている時の怒りがどの種類になるのか理解することは重要です。
怒りの種類によって対策すべき対処法も異なりますので、理解していないにも関らず「アンガーマネジメントは意味がない!」と決めつけてしまうのは少し早いかもしれません。
4種類の怒りと対処法を下記にまとめます。
- 常にイライラする怒り(頻度が多い)
- 瞬間的な怒り(強度が高い)
- 長期的に長引く怒り(持続性がある)
- 攻撃的になる怒り(攻撃性を持つ)
常にイライラする怒り(頻度が多い)
なぜか日常的にイライラしてしまう、怒る頻度が多い場合は「第一次感情」のキッカケとなる要因が多すぎる可能性があります。
挨拶の仕方が気に入らない、休憩に入るのが3分遅れてしまった、ホコリが落ちてる。
ちょっとしたことですが、気になってしまう人は気づく度にネガティブな感情へと繋がり、あっという間に第一次感情の容量オーバーに繋がります。
常にイライラしてしまう方は、なぜ自分はイライラしているのか具体的な原因を究明することがアンガーマネジメントのスタート地点。
原因が分かったら、本当に怒るほどの内容なのか、ネガティブな感情になる理由は何だったのか振り返ることが改善策となります。
瞬間的な怒り(強度が高い)
強度が高い瞬間的な怒りは「怒ることへの快感」を覚えてしまう可能性もあり、常習化してしまうリスクが考えられます。
誰かを強く怒ることで、「強く怒れば言うことを聞いてくれる」「怒ることで気持ちがスッキリした」気持ちや、考え方に変化が起きてしまいます。
自分の感情をコントロール出来なかった結果にも関わらず「怒ったことは正しかった」と正当化させるタチの悪いタイプとなるでしょう。
大したことでもないのに瞬間的な怒り方をしてしまう場合は、怒っている途中でもいいので、怒っている自分に気づいた瞬間すぐに黙るようにしてください。
数秒経てば本当に怒る事だったのか我に返れますし、感情をコントロール出来ていなかった自分自身に反省することもできます。
長期的に長引く怒り(持続性がある)
過去の思い出を引きずってしまい「あの時こうしていれば…」とネガティブな感情から、虚しい怒りを覚えることもあるでしょう。
長期的に長引く怒りは、胸がモヤモヤしてしまい、誰かに八つ当たりしてしまう場合も。
過ぎてしまった過去は思い返しても仕方がないと割り切る気持ちが大切で、「変わりに明るい未来の自分を想像する」ことで
持続性ある怒りの感情をコントロールできるようになります。
攻撃的になる怒り(攻撃性を持つ)
怒りの感情を抱くたびに言葉で相手を傷つけたり、場合によっては物理的な暴力行為にまで発展する可能性がある「攻撃性を持つ」怒りのタイプは最も危険。
仕事に対する意識の高い人や、集中力に優れた人が感じやすい怒りの特徴とも言えるでしょう。
この感情をコントロール出来ない人はパワハラの加害者になってしまう可能性もありますので、アンガーマネジメントの知識は必ず学ぶ必要があります。
攻撃性ある怒りを感じやすい方は、視野を広げて世間には色んな人がいることを理解する必要があるでしょう。
勝敗や結果にこだわり過ぎないようにしていただき、怒りを感じたら「6秒ルール」を意識するようにしてください。
怒りをコントロールする方法
怒りの感情が発生するメカニズムと、怒りの種類が理解出来ましたら、アンガーマネジメントによって怒りをコントロールする具体的な方法を確認してみましょう。
怒りへの理解が深まることで、今まで意味がないと感じていたアンガーマネジメントのイメージも変わるはず。
ちなみに怒りをコントロールする方法は数回試すだけで効果が出るのは難しく、トレーニングしながらコツを掴むモノになります。
一度試して効果が得られず「意味がなかった」と感じるのは当たり前なので、日常的に繰り返すことで技術を磨いていく必要があります。
□怒りをコントロールする方法
- 6秒ルールを意識する
- 「~べき」と決めつけない
- 怒りの記録を残す(アンガーログ)
- 怒りのレベルに点数を付ける
6秒ルールを意識する
アンガーマネジメントの有名な怒りをコントロールする方法は、怒りを感じた時にとにかく「6秒時間が経過するのを待つ」手法です。
どんなに感情が高ぶっても頭の中で6秒間カウントを行うことで、冷静さを取り戻し落ち着いて対応ができるようになるでしょう。
爆発寸前の積もりに積もった怒りのコントロールには向いていませんが、瞬間的な怒りを感じた時に効果を発揮するマネジメント手法となります。
「~べき」と決めつけない
怒りを感じるキッカケは価値観の違いが発生した時に起こりやすいため、「〇〇はこうあるべき」との固定概念が強ければ強いほどイライラしやすくなってしまいます。
先ずは「~べき」と決めつけていた価値観を「今まではこうあるべきだったが、これからは決めつけないようにしよう!」
このように
今まで決めつけていた価値観を捨てていただき、いろんな人の価値観に興味を持つようにしてください。
容認できる許容範囲が広がり、怒りの感情を抱くことも少なくなります。
常にイライラする頻度の多い怒りに効果的なマネジメント手法となるでしょう。
怒りの記録を残す(アンガーログ)
自分自身の怒りのタイプが分からなかったり、何が原因で怒ってしまうのか分からず悩んでいるならアンガーロクを残す方法が効果的です。
実際に怒ってしまった時の記録を細かくまとめておくことで、客観的な視点による行動の振り返りが可能になります。
とくに紙に書き出す行為により、記載中に「なんでこんな事で怒ってしまったんだろう」と冷静な気持ちで反省もできるでしょう。
怒りのレベルに点数を付ける
怒ってしまった時に、どれくらいのレベルで自分が怒っていたのか「点数」を付けてみるようにしてみましょう。
アンガーマネジメントによる点数付けになりますので、高い点数が良いと勘違いしないようにしてください。
例えば
激怒してしまい怒りレベルを採点したら「怒りレベル8」くらいだった。
別日にまた激怒してしまったが採点したら、内心ではそこまで怒っていなかったことに気づき「怒りレベルは5」だった。
怒りのレベルが違う要因はなんだったのか追求することで、怒りレベルを下げるための具体的な対策が取れるようになります。
まとめ
アンガーマネジメントは、怒りをコントロールする心理トレーニングとして日本でも普及してきていますが
「アンガーマネジメントは意味がない」
このように言われる事例も増えています。
意味がないと言われるのには明確な理由があり、多くの方々が「怒りを無くす方法」としてアンガーマネジメントを認識してしまっているから。
また心理トレーニングになりますので、一度実践しただけで効果を発揮するのは難しく、繰り返しトレーニングを行うことで「怒りの感情をコントロール」できるようになれる訳なんです。
とりあえず知識を身につけて試してみたけど意味がなかった。
アンガーマネジメントを裏ワザか何かと勘違いしていれば、言いたくなるのも仕方ありません。
あくまでもアンガーマネジメントは「心理トレーニング」この認識を持っていただき、日常的に繰り返して習慣化させるように心掛けてみましょう。以上
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