部下に仕事を任せたいのに何故だか「言われたことしかできない社員」に頭を悩ませていませんか?
また逆もしかりで、自ら率先して働きたいのに「何をしたらいいのか分からず」結局は上司の指示を待ってしまい怒られている人もいらっしゃることでしょう。
言われたことしかできない人には決まった特徴があり、場合によっては「発達障害」を患っている可能性も視野に入れて理解する必要があります。
上司の立場なら「頭ごなしに叱る」のではなく、先ずは部下を理解することから始めてください。
言われたことしかできないとご自身が悩まれているなら、発達障害の4種類に目を通して頂き当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。
言われたことしかできない人の特徴
これくらい言わなくてもやってくれないかな?……
この感情はアナタの「こうあるべき」という一方的な押し付けかもしれません。
言われたことしかできない人にはどのような特徴があるのかを確認してみましょう。
□言われたことしかできない人の特徴
- 自分の行動に自信がない
- 仕事に対するモチベーションが低い
- 言われたこと以外は怒られると考えている
自分の行動に自信がない
自分自身の行動に自信がない人は、いつも正しい答えを出してくれる人の指示通り動けばいいや!と「自分の意思で行動することを辞める」特徴があります。
普通なら言われたこと以外に関しても「あれした方がいいのかな?」「言われてないからやらない方がいいかな?」このように自分で考えながら追加の行動を行います。
自分の意思で行動する選択肢を失った社員は自ら考えることすら無くなりますので、仕事を任せる時は自信が付くような頼み方を上司は意識する必要があるでしょう。
自信を失った社員は
「自分なんかが…」
と自らを卑下するようになり、正しい人の意見に従っていれば責任を取ることもないため、指示待ちの環境に依存するようになります。
仕事に対するモチベーションが低い
仕事の評価が正当に行われていない、将来性の無い仕事に飽き飽きしている。
このように仕事へと対するモチベーションが低くなると、自ら率先して行動しなくなってしまいます。
モチベーションの低さが原因の場合は、その人の性格に関する問題ではないため、モチベーションを上げることが出来れば
「自発的に行動してくれる社員」
としての改善が見込めます。
なぜヤル気を無くしてしまっているのか本人へとヒアリングを行い対策を行うようにしてみましょう。
言われたこと以外は怒られると考えている
過去に良かれと思い自分で考えて行動した結果、上司から怒られた経験がある人はその経験が「トラウマ」となり言われたこと以外を勝手にする行為が怖くなってしまいます。
余計なことは怒られてしまうんだと考えるようになってしまい
「やっておいた方がいい業務」に気づいているのに、怒られる可能性があるからやらない。
「やりたい業務があるけど」言われていない業務になることから万が一を考えてやらない。
このように本当は「何事にも気づいているのに」恐怖心から、言われたことしかできない人もいらっしゃいます。
言われたことしかできないのは病気?
なぜあの人は言われたことしかできないのだろう?
なぜ自分は言われたことしかできないんだろう?
頑張ってるのに上手くできない、努力しているのに結果がでない。周りと自分(あの人)は何か違うのだろうか?
このような悩みに直面したのであれば、それはもしかしたら「発達障害」の一種かもしれません。
そんなある訳ない!と感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では実に20人に1人の割合で発達障害の傾向があるとの調査報告があるほど、今の私達にとっては身近な症状と言える訳なのです。
発達障害とは具体的にどのような症状なのか詳しく確認してみましょう。
発達障害の種類と具体的な症状
発達障害とは、生まれつき脳の発達に偏りがある障害とされており「社会生活上の支障」「人間関係のミスマッチ」を生じさせる症状が特徴的です。
発達障害と一括りにしても個々で特徴が異なりますので多様性ある理解が求められます。
発達障害は大きく4つの種類に分類ができますので確認していきましょう。
□発達障害の種類
- 精神遅延(知的障害)
- 学習障害(LD)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
また、発達障害には数値として明確に表す基準がないため、発達障害の特性があるものの基準を満たさないことから「グレーゾーン」として判断される事例もあることを理解しておきましょう。
精神遅延(知的障害)
精神遅延とは、精神の発達が遅れたり止まってしまう発達障害の一種。
精神的なコミュニケーション能力だけでなく、言語能力や認知能力・身体能力にまで影響が現れます。
症状を持つ割合としては人口の1%と言われており、100人に1人は症状を持っている可能性がある訳です。
知的障害の指標として知能指数がIQ70以下と判断する事例も多く、軽度~最重度まで4段階で診断されることも。
相手の思考や感情を読み取る能力、計算能力の遅さ、社会的な判断力など社会人には必要な能力が欠如してしまうため、言われたことしかできない可能性が考えられます。
※参考(厚生労働省)
学習障害(LD)
学習障害とは、全般的な知的発達(生活に関わる能力など)に遅れはないものの、読み書きや計算力など学習面での能力に支障が生じる発達障害を指します。
とくに学習障害で多い症状として「読字障害」をあげることができ、形がにている文字の区別が難しい、「ゅ」「っ」のような小さい文字の認識が難しい、文字を読み飛ばしてしまうなどがあります。
社会人になると、マニュアルが読めない、会議や研修の内容をメモできない自分に嫌気が差してしまうことも。
働くことに対して苦手意識が強くなり、言われたことしかやらなくなってしまいます。
※参考(厚生労働省)
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害とは、自閉スペクトラム症とも言われ「コミュニケーションがうまくとれない」「こだわりが強い」「言葉を使おうとしない」このような特徴がある発達障害を指します。
自閉スペクトラム症の有名な症状には
- 視線が合わない
- 共感的ではない
- 表情が乏しい
- 独り言が多く、人の言葉をオウム返しする
- 人に触られるのが苦手
- 名前を呼んでも振り向かない
上記のような項目があげられます。
言われたこと以外を率先して行動するためには「察する能力」を求められますが、自閉スペクトラム症の方は、相手の気持ちを想像力したり、暗黙のルールを理解したり、空気を読むことが苦手。
空気を察したり、想像力に弱みを持っていることから、基本的に言われたことしかできない訳です。
※参考(厚生労働省)
注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、「不注意」「多動性」「衝動性」3つの症状を1つもしくは、複数持っている方を指します。
3つの症状をもう少し詳しく記載すると
- 不注意(集中力がない)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(思いつくと行動してしまう)
それぞれ異なる症状となることから、一貫性がある訳ではありませんが、「人の話しを最後まで聞くことができない」「忘れ物が多い」「会議中にじっとしていられない」このように社会人として過ごしていくには悩ましい特徴となってしまいます。
割合として40人に1人がADHDを生じていると言われていますので、誰しもが理解すべき病気となるでしょう。
※参考(厚生労働省)
言われたことしかできない人に向いてる仕事
言われたことしかできない指示待ち人間と言われていたとしても、指示待ち人間だからこその強みもあります。
自分自身の強みを理解することで「言われたことしかできない人に向いてる仕事」が何なのかを見つけやすくなることでしょう。
指示待ち人間の強みは
「指示されたことはきちんとこなせる」
と言うこと。
- 指示に従って行動する仕事
- マニュアルが作成されている仕事
- 身につければ指示がなくても処理できる仕事
上記項目を満たす職種は向いてる仕事と言えます。
参考として下記に向いている職種を掲載しておきますので「言われたことしかできない」悩みを抱えているなら参考にしてみてください。
□言われたことしかできない人に向いてる仕事7選
- 工場のライン業務
- 清掃員の仕事
- タクシーの運転手
- バスの運転手
- 運送ドライバー
- 警備員
- 配達員
言われたことしかできない人への対処法
ビジネス面において言われたことしかできない人に頭を悩まされているなら、今までの意識を大きく変えて下記に解説する対処法を実施してみましょう。
アナタがイライラしたり、怒ったりしても何の解決にもなりませんので、自分自身の意識・行動を変える事が重要となります。
□言われたことしかできない人への対処法
- 仕事の目的や理由を必ず伝える
- 怒らずに出来たことを褒める
- 曖昧な指示出しをしないようにする
- 質問・意見は適確に答えるようにする
仕事の目的や理由を必ず伝える
ただ単に仕事を任せるだけでなく、なぜその仕事をやる必要があるのか、目的を果たすことでどのようなゴールに繋がるのかを明確に伝えるようにしてみましょう。
やって欲しい業務をお願いするだけになると、任された本人からすれば目的や理由を分からないため「言われたことをやればいいと指示待ちの癖」がついてしまいます。
仕事(プロジェクト)の全体像をしっかりとイメージさせて、任された業務を行うことでどんなゴールに繋がるのかを明確にするようにしてください。
怒らずに出来たことを褒める
言われたことしかできない人は、良かれと思い行った行動で過去に怒られた経験がある可能性も考えられます。
心の中では、「あれやっといた方がいいかな?」このように気づいているにも関わらず「怒られたら嫌だから勝手にするのは辞めとこう」
このような過去の経験を元に自分自身へとセーブを掛けているかもしれません。
指示待ち人間を卒業させたいのであれば、怒らずに接することはもちろん、何かを自ら率先して出来たのであれば必ず「褒める」ように改善してみてください。
曖昧な指示出しをしないようにする
どうしても従業員が言われたことしかできないようなら「この人は言われたことしかできない」と指示出しする側が割り切るのも大切。
「〇〇の件よろしくね」と曖昧な指示出しはやめて、「いつまでに〇〇を済ませて、終わったら報告。もしも修正が必要になった場合は□□さんに共有するようにしてください。」
このように1~10まで具体的に指示をするのがポイント。
不思議なもので具体的な指示出しを継続した方が、言われたこと以外も出来るようになる従業員もいらっしゃいます。
質問・意見は適確に答えるようにする
部下に分からない事や意見を聞かれた時
「前もそれ教えたよね」
「そんな意見は求めてない」
このように冷たく対応していませんか?
部下から上司に質問や意見をするのは勇気がいるもので、怒られたり・冷たく対応されてしまうと部下は萎縮してしまいます。
自ら考えて行動しようとしても「怒られるかもしれない」「相談しても相手にされないかも」このような思考が巡るようになり、言われたことしかできない指示待ち人間になってしまうことも。
質問や意見を積極的に発言できる職場環境を意識していただくことで、部下もポジティブに率先して働くようになります。
万が一の場合も報連相(報告・連絡・相談)によりコミュニケーションが図れますので、言われたことしかできないという状況を防止できるでしょう。
まとめ
言われたことしかできないのは病気なのかをテーマに解説してきましたが、結論としてはどちらの可能性も考えられます。
シンプルに仕事に対するモチベーションが低い場合や、余計な事をすると怒られるという過去のトラウマから「言われたことしかやらない」従業員が多くいるのは事実。
しかし、約20人に1人の割合で「発達障害」の傾向があるとも言われていますので、「言われたこと以外はできない」病気を持ち合わせていることも事実となるでしょう。
仕事を教える側の人間は「多種多様な従業員」がいることをしっかりと理解し、言われたことしかできない従業員を指導する機会があるなら、的確な対処法の実施が求められます。
また、言われたことしかできない自分自身に悩みを抱えているなら、アナタの強みは「言われたことは出来ること」だと理解するようにしましょう。
強みを活かせる仕事を選ぶようにすれば悩まされることも無くなりますので「向いてる仕事」に再度目を通していただき、今の仕事を続けるのか、転職してみるか考えるようにしてください。以上
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