派遣社員を会社に受け入れる際は「派遣社員に言ってはいけないこと」を職場の全員が理解しておく必要があります。
派遣だからと差別するのはもってのほかですし、正社員と同じように接する気持ちも大切ですが明確に線引きを行い「正社員と派遣社員」は区別する事が重要でしょう。
派遣社員の採用は即戦力に期待できたり、人件費を削減出来たりと企業にとっては大きなメリットにもなります。
今回の記事では、派遣社員と良好な関係を築くため「言ってはいけないこと」「させてはいけないこと」を具体的にまとめていますので参考にしてください。
派遣社員に言ってはいけない事
正社員からすれば「何で派遣として働いているんだろう?」「給料はどれくらい貰っているんだろう?」と気になるのは仕方がありません。
しかし、気になるからと言って雇用契約に関わる内容や、プライベートに踏み込む質問を派遣社員にするのはNGです。
また、「派遣なんだから」と無下に扱ったり、バカにしたような態度を取る正社員が職場にいるなら、そんな企業は人としての教育からやり直す必要があるでしょう。
以下に派遣社員に言ってはいけないことを具体的にまとめました。
□派遣社員に言ってはいけない事
- 「派遣のくせに…」とよそ者扱いする
- 給料・期間など雇用契約に関すること
- プライベートに深く踏み込んだ発言
- 転職や将来性についての話し
- 派遣さん・派遣会社名で呼ぶ
- 言われたことしか出来ないんだね。
- 今おいくつなんですか?
- 企業の機密情報を話す
「派遣のくせに…」とよそ者扱いする
正社員と派遣社員を比較した時に「正社員の方が格上だ!」と勘違いしてしまっている人は、派遣社員に対して
派遣のくせに余計なことするな!
これだから派遣は…
このように差別とも言える発言をしてしまいます。
確かに正社員と派遣社員では、仕事に対する責任の重さが違ったり、行える業務範囲も異なりますが、企業のため共に働くパートナーということに変わりはありません。
派遣社員の人は様々な職場環境を経験していたり、即戦力となる知識・スキルを持っている素晴らしい人材です。
雇用形態は違えど、互いが尊重し合って仕事に励める関わり方を意識していくことが重要です。
給料・期間など雇用契約に関すること
派遣社員はアナタが所属している企業と契約を結んでいるのではなく、派遣会社と契約を結んでアナタの会社で働いています。
つまり「異なる会社の人間」とも言える訳ですが、同じ会社の同僚や部下に対して「給料いくら貰ってるの?」なんて質問は失礼なので普通はしないですよね。
派遣社員に対して、時給や給料の質問をするという事は、違う会社の人に聞いてるのと同じこと。
給料だけでなく、契約期間やボーナスなど雇用契約に関する内容は派遣社員を不快にさせる要因とも言えます。
プライベートに深く踏み込んだ発言
当事者間の関係値にもよりますが、プライベートに関する質問は極力控えましょう。
仲良くもない相手に対して「貯金額どれくらい?」「結婚してるの?」「休みの日は何してるの?」このように踏み込んだ発言を繰り返していると、派遣社員に限らず人間なら大きなストレスを感じてしまいます。
あくまでも派遣社員は派遣会社のスタッフとなりますので、プライベートな質問をしつこくしていると「パワハラ」「モラハラ」などのハラスメント行為として問題視される可能性があります。
自社の社員に対してもプライベートな会話は気をつけなければなりませんが、派遣社員に対してはそれ以上に意識して接する必要があるでしょう。
転職や将来性についての話し
派遣社員には「自ら派遣社員として働きたい」と考えている人と、「何か理由があって仕方なく派遣社員をしている人」が混在しています。
どちらのパターンにしても、派遣社員としての将来性を指摘したり、転職に関する話題を持ち出すのは控えた方がいいでしょう。
近年では、終身雇用の崩壊によって正社員として働いている場合でも将来に不安を感じている人は多くいますが、派遣社員の人はもっと大きな不安を感じている可能性があります。
派遣さん・派遣会社名で呼ぶ
業種によっては派遣社員を個人としてではなく派遣社員という存在でしか見ないこともあり、「派遣さん」「派遣会社名さん」と本人の名前で呼ばずに接する事例もあります。
1日限りの単発バイトなどで複数人を相手にする場合は仕方ありませんが、派遣社員は何ヶ月との周期で関わりを持つ相手。
しっかり一個人として接することが企業には求められます。
言われたことしか出来ないんだね。
正社員の目線からすれば、派遣社員の働き方は「言われたことしかやっていない」ように見えることは多々あります。
これは派遣社員の契約上「指示された業務を行う」という表向きのルールが大きく関わっていると言えるでしょう。
企業によっては、派遣に対して指示したこと以外はするなと名言している場合も多くあります。
様々な環境を経験している派遣社員だからこそ、気を使って指示以外を行わないようにしている可能性もありますので、「言われたことしか出来ないんだね」このような発言は控えるようにしてください。
指示した業務以外も率先的にして欲しいのであれば、本人へと事前に伝えておくようにしましょう。
今おいくつなんですか?
女性に対して年齢を聞くのは失礼だと言われた経験があったり聞いた事はありますよね。
派遣社員に対して年齢を聞くのは、性別問わず同じくらいデリケートな質問だと認識してください。
年齢層が高めの人に限らず、見た目が若い20代~30代の人でも派遣社員は不安定なイメージがあったり、正社員を目指して焦っている状況だからこそ年齢を聞かれたくないこともあります。
仲良くなってプライベートでも遊ぶような関係値であれば聞いても問題ありませんが、ビジネス間だけでしか関わらない人には基本的に聞かないようにしましょう。
企業の機密情報を話す
派遣社員は正社員と異なり同じ会社で働き続けるわけではありません。
何ヶ月・何年間と契約期間が決められており、契約が更新されなければ他の企業へと派遣されてしまいます。
派遣だから「機密情報」を言ってはいけないという訳ではなく、情報漏洩のリスクを考慮すれば、限定的な契約期間・正社員とは責任の重さが違うなどの観点から
派遣社員には機密情報を共有しない方が企業にとってのリスクヘッジに繋がります。
派遣社員にさせてはいけない事
派遣社員には言ってはいけない事だけでなく、させない方が良いことや、絶対にさせてはいけない業務もあります。
これくらい大丈夫だろう。
人手が足りないから派遣社員にやらせたい。
このような考えから「させてはいけない事」を派遣社員に無理強いさせてしまう可能性もあるため注意が必要です。
以下に詳しくまとめていますので参考にしてください。
□派遣社員にさせてはいけない事
- 労働派遣法で禁止されている業務
- 契約に記載されていない仕事
- 契約に記載されていない残業
- 契約にない部署異動や出張
- 飲み会や接待に強要する
- 二重派遣や日雇い派遣
労働派遣法で禁止されている業務
派遣社員にさせてはいけない業務は「労働派遣法」によって明確に定められています。
禁止されている業務は以下の項目
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 医療関連業務
- 士業務
専門性が高いものや、危険性の高い職種は基本的にさせてはいけないと認識しておきましょう。
より詳しく派遣社員にさせてはいけない業務を知りたいなら、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の第四条と、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令」の第二条に目を通すようにしてください。
契約に記載されていない仕事
派遣社員の仕事内容は、派遣会社と派遣先企業の契約で厳密に決められており、契約書に記載されていない業務は派遣社員にさせてはいけません。
契約書に記載されていない業務を任せたいのであれば、契約書の内容そのものを書き換える必要がある訳です。
ちょっとした雑用などを契約書に記載することは基本的にありませんが、派遣社員と揉めたくないのであれば、任せる可能性がある業務は事細かに契約書へと記載するとが重要でしょう。
契約に記載されていない残業
契約書に残業に関する記載がない場合は、派遣社員に残業をお願いしても、派遣社員には断る権利があります。
このような状態で残業を強要すれば契約違反となりますので気をつける必要があるでしょう。
残業だけでなく、労働時間の変更も契約書に記載していなければ依頼するのは難しくなります。
シフト制の職種などは深夜・早朝と時間帯が大きく異なりますので、時間変更をさせる可能性があるなら契約書への記載はマストでしょう。
契約にない部署異動や出張
原則として派遣社員を部署移動させたり、出勤させることは契約書に記載がない限り出来ません。
派遣先で勝手に部署移動などをさせてしまうことは契約違反となります。
部署移動や出勤をさせるためには
- 派遣先と派遣社員の双方が同意すること
- 現在の契約期間が満了すること
上記2つの条件を満たす必要があります。
派遣社員は戦力となる人材になりますので、様々な環境で活躍させたい気持ちは分かりますがルールに則って雇用をしていく必要があるでしょう。
飲み会や接待に強要する
飲み会や接待の参加に派遣社員を強要してはいけません。
正社員だからと言って強要するのもハラスメントになる可能性が高いので要注意ですが、派遣社員は「飲み会や接待」の参加を断ることが出来ますので、断っているにも関わらず参加を無理強いすれば大きな問題に発展する可能性もあるでしょう。
どうしても派遣社員を参加させたいのであれば、派遣会社と派遣社員に対してどうしても参加して欲しい事情を説明する必要があります。
それでも難しいようであれば派遣社員の参加は諦めるようにしてください。
二重派遣や日雇い派遣
二重派遣とは、派遣された企業ではなく、さらに別の企業に派遣されて働いている状態を指します。
派遣社員の雇用形態や給料に不利益が生じやすくなり、責任の所在がどこにあるのかも分かりにくくなるデメリットがあげられます。
二重派遣は列記とした違法行為となりますので絶対にさせないように気をつけてください。
また日雇い派遣も原則として禁止されていますので注意が必要です。
31日を超える派遣期間があり、かつ1週間の労働時間の合計が20時間を超えるときに派遣として雇えるようになりますので覚えておきましょう。
まとめ
派遣社員の人たちは人生に不安を感じながら働いている可能性が高く、自社ではなく他社の人材という観点からも「言ってはいけない事」はたくさんあります。
雇用契約に関する内容、将来に関する内容、転職に関する話し、プライベートに関する話しなどなど、何も考えずにズカズカ聞いてしまうと派遣社員に大きなストレスを与えることにも繋がるでしょう。
最悪の場合は退職をさせてしまったり、派遣社員が派遣会社にクレームを入れてしまいアナタ自身に悪い影響が及ぶ可能性も。
派遣社員は技術もスキルもあり、即戦力となる貴重な人材となります。大切なパートナーとして「踏み込みすぎず・避けすぎず」程よい距離感で関係値を保っていくことが重要でしょう。
今回の記事では言ってはいけない事だけではなく、させてはいけない事も合わせてまとめていますので、まだチェックされていないなら必ず目を通すようにしてくださいね。以上
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